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自筆証書遺言のポイント(相続法改正を踏まえて)

2019年11月01日 遺言

 昨今、民法の相続法部分が改正されましたが、自筆証書遺言の作成にあたって踏まえておくポイントをまとめます。

1、自分の手で書くこと

 民法においては、自分の手で「全文」「日付」「名前」を書くことが求められています。法律の文言では「自署」といいます。

 パソコンやワープロ(今では単体のワープロ機を使う人は少ないでしょうが)を用いてはいけません。遺言自体が無効になります。

 相続法が改正されても、自分の手で書かなければならない点は同じです。後述しますが、パソコン使用が認められたのは財産目録だけです(勘違いしている人が多い点です)。


2、遺言の内容について

 遺言は、自分の財産をどう相続させるかを決めるものです。ですから、基本的には財産のことを書きます。この家と土地を長男に、車を次男に、この預金を長女にというようにです。

 そして、財産を書くにあたっては、「特定」が必要です。「自分の家」という抽象的な表現は、それで物件が特定できる場合はいいですが、複数不動産を持っている場合は問題になります。

 不動産の場合は登記簿の記載(地番など)を書き写して特定しますし、銀行預金の場合は、銀行名、支店名、種別、口座番号などで特定します。自動車の場合は車検証の記載を写すことになります。

 ここで、財産の種類が多い場合は、通常「財産目録」というのを作ります。この「財産目録」の作成に、パソコン使用が認められることになりました。

 ただ、本文にパソコン使用は認められていませんし、間違うと遺言が無効になるので、ご自身で作成されるときは、全文を自署するか、専門家に相談しながら作られた方がよいでしょう。


3、日付と名前について

 日付と名前を自署して、遺言作成は終了になります。日付も、年月日をきちんと書きましょう。〇月末日という遺言が有効になった判例はありますが、遺言作成にあたって危険を冒す必要はありません。

4、自分の思いを書いていいか

 自分の思いを書いても、遺言は無効になりません。ただ、後々、親族間の紛争の火種になりますので、悪いことは書かない方がよいでしょう。文書は残ります。

 一方で、お墓などの祭祀財産の承継については、きちんと取り決めをしておくか、遺言に書いておいたほうがよいでしょう。


5、どこに保管するか

 これが一番の問題です。なぜなら、せっかく書いた遺言も、見つけてもらえなければ意味がないからです。信頼できる人に預ける、銀行の貸金庫に保管して親族みんなに伝える、弁護士に預ける、色々な方法があります。また、公正証書遺言にすれば、公証役場に保管してもらえます(個人的には、公正証書遺言の一番のメリットだと思います)。また、遺言書保管制度も法改正によりスタートします。


 
最後に余談ですが、「遺言」って何て読みますか。一般の方は「ゆいごん」と読む方が多く、弁護士などの法律専門家は「いごん」と読む方が多いようです。ちなみに昔調べたところ、どちらも正しい読み方なようです。

以上

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