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特別の寄与の制度

2020年04月01日 相続

1 相続法の改正の一つとして、「特別の寄与の制度」が創設され、2019年7月1日より施行されています。

 「特別の寄与の制度」とは、相続人以外の被相続人の親族が無償で被相続人の療養看護等を行った場合に、相続人に対して金銭の請求をすることができるという制度です。

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1)この制度の創設によって、具体的にどのような場合に違いが発生するかという点ですが、以下の事例に基づいて具体的に検討してみます。

 「被相続人には、長男A、長女B、次男Cがいました。

 しかし、長男Aは既に死亡しており、長男A死亡後は、長男Aの妻Xが被相続人の療養看護を行っていました。

 そして、その後、被相続人は死亡しました。

 長男Aの妻Xは、被相続人に対して行った療養看護に関して、何らかの請求をすることができるでしょうか。」

2)上記事例の場合、相続人の立場であれば、「寄与分」の主張が可能ですが、寄与分の主張は相続人のみが行うことのできる主張でした(民法904条の2)。

 そのため、長男Aの妻Xは、懸命に療養看護に努め、被相続人の財産の維持・増加に寄与していたとしても、被相続人の相続人に該当しないことから、寄与分の主張をすることができませんでした。

 しかし、やはり、上記状況に関しては、介護等の貢献が評価されないことになってしまい不公平だ、長男Aの妻Xを救済するべきではないかという指摘が従前からありました。

 そこで、今般の民法改正において、実質的公平を図る観点から、特別の寄与の制度が新設されたのです(改正民法1050条)。

3)では、具体的に、相続人である長女B、次男Cに対して、長男Aの妻Xはどのような請求をすることができるのでしょうか。

 この点、改正民法においても、相続人ではない長男Aの妻Xは、遺産分割そのものに当事者として関与できるわけではありません。

 あくまで、遺産分割の手続外で「特別寄与料の支払請求権」という、金銭の請求ができるという制度であり、上記事例の場合に当てはめると、遺産分割協議は長女Bと次男Cとで行うことになりますが、長男Aの妻Xは、長女B及び次男Cに対して金銭請求を行うことができるということになります。

3 なお、特別寄与料の支払請求権が認められるための要件として注意すべき点がいくつかあります。

 例えば、「特別寄与者」の範囲に関しては、「被相続人の親族」と規定されており(改正民法1050条1項)、「親族」とは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族を言うとされていますし、請求権を行使しうる期間についても、改正民法1050条2項但書において、「特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6カ月」以内及び「相続開始の時から1年」以内という形で制限が設けられています。

 その他にも、実態的な要件として「特別の寄与があったこと」、「寄与行為が無償であること」等の要件があり、これらの実体的要件を充足しているのかという点も含め、特別寄与料の請求がどのような場合に行使できるのかという点に関しては、一概に判断できない場合もあります。

 もし、ご自身が特別の寄与料の請求ができるのではないかと思われましたら、お気軽に弁護士に相談いただきたいと思います。

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