弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

相続財産を管理する制度をご存じですか

2019年03月01日 相続

1分譲マンションの一室を所有していた方が亡くなりましたが、病気で入院した時からの管理費や修繕積立金が未納のままになっ ていますし、主のいなくなった部屋の今後の管理をどのようにしたらいいでしょうか。最近増えている相談の一つです。

2もちろん、亡くなった方に配偶者やお子さんがあれば、その方々が相続人となるのが通常ですので、相続手続をとってもらえれば特に問題はありません。

 問題となるケースは、一人暮らしで誰が相続人なのかわからない場合や相続人がみつかっても相続を希望せず、相続が放棄されたようなケースです。核家族化が進み、さらに超高齢化社会を迎えた我が国では、一人暮らしの世帯が増えました。相続人を把握することが困難な場合や亡くなった方と相続人の方の関係が希薄で互いの生活状況がよくわからないような場合に、死後に判明するかもしれない負債の相続を恐れて、相続の放棄がなされることも珍しくはありません。

3相続人が誰かを調べる方法

そもそも相続人の把握はどのようにするのでしょうか。

 相続人が誰かを知るには、亡くなった方の戸籍を順に辿っていくことが必要です。長い人生の中には、婚姻、離婚が繰り返されていたり、誰かを養子をとっていたり、身分関係の変動が考えられます。

 誰か相続人であるかは、この戸籍を生まれた当初(あるいは子どもをもうけることができた年齢まで)辿る作業を行い、確認をすることが必要です。昨今の個人情報保護の流れから親族関係にない方による戸籍の収集、確認作業は困難な場合も少なくありません。

 なお、弁護士は、依頼された法律事務を処理するにあたり、正当な理由があれば、資格に基づき職務上請求と呼ばれる方法を用いて、戸籍の確認をすることが認められています。

4相続人がいない場合の手続~相続財産管理人制度~

 戸籍を確認した結果、亡くなった方に相続人がいないケースがあります。

 これには、前述のとおり、単純に相続人がどなたもいないケースもありますし、相続人はいたけれども、相続人が相続を放棄した結果、相続人がいなくなったようなケースもあります。

 この場合、亡くなった方親族や亡くなった方の相続に利害のある関係者は、相続財産を管理するための相続財産管理人の選任を家庭裁判所に求めることができます。

 相続財産管理人とは、文字通り、亡くなった方の財産を管理する者ですが、具体的には、裁判所の命を受け、相続人の相続財産(負債も含みます。)を調査して、管理の必要に応じて財産を処分し(多くのケースでは、部屋を適正な価格で売却することになることが多いでしょう。)、亡くなった方が債務を負っていた場合には、その債務の弁済等をして清算を行います。清算後に残った財産があれば国庫に帰属させます。

 この過程で、マンションの管理組合の管理費や修繕積立金についても清算することが可能な場合があります。

5しかし、相続財産管理人の選任に当たっては、相続人を確定させる作業や家庭裁判所への申立等の手続が必要となりますし、相 続財産管理に要する費用を裁判所に予納する等コストも相当程度必要となります。

 管理者がいない相続財産を巡ってお困りのことがあれば、弁護士に手続に要する手数やコスト(予納金、弁護士費用等)等についても相談をし、アドバイスを受けることをおすすめいたします。

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