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介護してきた親族に相続人がなく遺言もない場合

2019年01月07日 相続

あなたが長年介護をしてきた親族が亡くなり、その方に相続人がなく(相続人全員が相続放棄したことにより、結果的に相続人がいなくなった場合も含まれます。)、遺言もない場合、遺産はどうすればよいのでしょうか。私が長年介護してきたのだから、遺産は私がもらっても・・・とお考えになるかもしれません。

 亡くなった方に相続人がなく、遺言によって遺贈を受ける者もいない場合、遺産は最終的には国のものになりますが、あなたが裁判所から「特別縁故者」であると認められれば、遺産の清算後、遺産の分与を受けることができます。特別縁故者とは、法律上、①亡くなられた方と生計を同じくしていた者、②亡くなられた方の療養看護に努めた者、③これらに準ずる特別の縁故があった者とされています。

 上記のとおり、あなたが特別縁故者と認められ、遺産の分与を受けられるのは、遺産の清算後です。そして、遺産の清算は、裁判所から選任された相続財産管理人が行います。

 したがって、あなたが遺産の分与を受けるためには、まず、家庭裁判所に対し、相続財産管理人選任の申立てをする必要があります。

 相続財産管理人が選任されると、裁判所が相続財産管理人を選任したことが官報に公告されます。この公告から2か月以内に相続人が現れない場合、相続財産管理人は、債権者・受遺者に対して、2か月以上の期間を定めて、請求の申出をするよう公告し、申し出た債権者・受遺者に対しての弁済を行います。

 さらに、相続財産管理人の請求により、裁判所は6か月以上の期間を定めて、相続人捜索の公告を行います。これは、相続財産管理における最後の公告であり、最終的に相続人を探索し、債権者・受遺者に届出を促すとともに、この期間内に届出のない相続人、債権者、受遺者の権利行使を排除するために行われるものです。

 あなたは、相続人捜索の公告の期間満了後(上記のとおり、相続財産管理人選任の公告期間が2か月、債権者・受遺者に対する請求申出の公告期間が最低2か月、相続人捜索の公告期間が最低6か月ですので、相続財産管理人選任の公告からは少なくとも10か月が経過しています。)3か月以内に、家庭裁判所に対して、特別縁故者に対する相続財産分与審判の申立てをすることができます。裁判所があなたへの遺産の分与を認める審判をした場合、あなたは、審判の内容に従って、相続財産管理人から財産の引渡しを受けることができます。

 以上が、あなたが特別縁故者として遺産の分与を受けるための大まかな流れです。もっとも、相続財産管理人選任の申立てには、亡くなった方の戸籍謄本・除籍謄本、遺産に関する資料、遺産目録など、用意する書類が多岐にわたります。また、遺産がマイナスである可能性がある場合など、事案によっては、あなたが相続財産管理人選任の申立てをするメリットがない場合もあります。また、特別縁故者に対する相続財産分与審判の申立ても、裁判所からあなたが特別縁故者であると認めてもらえるよう、適切な主張をし、資料を提出する必要がありますので、ぜひ事前に弁護士に相談されることをお勧めします。

 なお、特別縁故者に対する財産分与の審判を受けずに遺産をあなたのものにしてしまうことは違法行為ですので、くれぐれもご注意ください。

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