弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

「銀行預金の相続」

2016年07月01日 相続

 相続の相談の際、銀行預金について質問されることがよくあります。今回は、相続の際に銀行預金がどのように扱われるかお話ししてみます。

1 母の銀行預金が生前同居していた長男夫婦によって私的に使われてしまったようだが、どのように調べたらいいか、私的な費消が分かったときはどうしたらいいですか。

相続開始前の預貯金の入出金の状況は、母親が死亡したことと自分が母親の相続人であることが分かる戸籍謄本を持参して銀行に行けば、銀行は過去の入出金の記録を出してくれます。どのくらい過去にさかのぼって出してくれるかは、銀行によって異なるようです。もし、記録をみて、引き出された当時の事情から、長男が勝手に引き出して自分で使ったことが分かれば、長男の行為は、刑事的には母親に対する横領罪になる可能性があり、民事的には母親に対する不法行為になります。相続上は、母親が生前不法行為をした長男に対して持っていた損害賠償請求権を相続人が共同相続したことになり、結局は、遺産分割の協議の中で、長男に対する損害賠償請求権の精算をすることで解決していくことが多いようです。

2 母親が死亡したのですが、銀行預金はもう引き出せないのですか、預金から葬式費用を出したいのですが、どうしたらいいですか。

預金者が死亡しても、銀行が死亡の事実を知らなければ、預金は凍結されないので、もし暗証番号を知っている人がカードを持っていれば、銀行預金を下ろすことができます。これを防ぐには、母親が死亡した事実を証明する戸籍謄本等を銀行に示して預金を凍結してもらうことが必要です。もし、相続人全員が葬式費用等の緊急の必要のために使うことで意見が一致した場合は、暗証番号が分かっていれば、カードで引き出してしまうことは可能です。ただ、正規には、銀行に母親が死亡したことを説明して、銀行所定の相続人全員が引き出しに同意したことを証明する書類によって引き出し、あるいは解約するべきです。

3 公正証書遺言で遺言執行人に指定され、銀行預金も解約できると遺言に書いてあるのに、銀行が解約に応じてくれない、解約には時間がかかる等言っているがどうしたらいいですか。

遺言で指定された遺言執行人は、被相続人の銀行預金を解約することができます。しかし、銀行によっては、解約を拒否したり、調査を理由として容易に解約に応じてくれないことがあります。このようなときは、責任を負う人、支店長等に対応をしてもらい、緊急に解約する必要があること、もし解約が遅れて損害が発生したときは損害賠償請求することを説明して交渉すべきです。それでも銀行が解約に応じないときは、文書で解約できない理由を説明するよう求めるとよいでしょう。大抵は、責任者に対応を求め、損害賠償請求の可能性を告げれば、解約に応じてくれます。

以上

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