弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

寄与分について

2013年12月01日 相続

1 新宿家庭法律相談センターでは、寄与分のご相談が多くあります。

  父と同居して介護をし、自分の給料を家に入れてきた、あるいは永年安い給料で家業を手伝ってきた、実家の修繕費用を支払ったなどで、これらのことは相続のとき考慮してもらえないのかというご相談です。

  なかには、父親の散髪をいつもしてきたとか、晩酌の酒や肴を自分が買って父の酒の付き合いをしてきたとかのご相談もあります。

2 寄与分とは、相続人が被相続人の財産の維持や増加に通常期待される程度を越える貢献をしたときに、相続財産の一定割合や金額を相続財産から控除して、その相続人が相続分と共に受け取る制度です。

  相続人間の公平を図るため、昭和55年の民法の改正で904条の2として新設されました。

  寄与分の制度があることから、自分が父や母にしてきた寄与の全てが「寄与分」として相続に際して考慮されると誤解されているようで、上に述べたような相談が多く寄せられます。

  寄与分に関して、ここで少し整理してお話ししたいと思います。

3 民法が認める寄与分の代表例は、次のように分類できます。

 ⑴ 家業従事型

   相続人が、給料を貰わず、または極めて安い給料で父親の農業や自営業を手伝ってきた場合などです。

 ⑵ 財産給付型

   共稼ぎの夫婦が夫の名義で自宅を買った場合や、父親に無利息でお金を貸したり、父親に代わって父親の借金の返済をした場合などです。

 ⑶ 療養看護型

   お金を貰わずに、病気で療養している父母の療養介護を行った場合などです。

⑷ 扶養型

  お金を貰わずに、父母を継続的に扶養してきた場合などです。

 ⑸ 財産管理型

   お金を貰わずに、父親の持っているアパートの管理をして、父親が管理費用の支出をしなくて済んだ場合などです。

4 寄与分は上に述べた各型に分類できますが、いずれも寄与分として認められるには、民法も明示しているように「特別の寄与」でなくてはなりません。

  「特別の寄与」とは、身分関係に基づいて通常期待される程度を越える貢献をした場合で、親子間の扶養義務の範囲内の行為は寄与とは認められません。

  最近相談を受けることが多い療養看護型の寄与の例では、母親が病気なので同居して家事の援助や身の回りの世話をしていた、と言うだけで当然に「寄与」の主張が認められるわけではありません。その程度が「親子としての身分関係から通常期待される程度を越えるもの」であって初めて「特別の寄与」に当たると言うことができます。

  母親の病気の程度・内容と療養看護の必要性で決められますが、介護で言うと、母親が要介護2~3で、介護保険を利用しないで長女が母親の世話をした場合などが「特別の寄与」に当たると言えるでしょう。

  将来寄与の主張をするためには、母親の診断書、介護度を証明する要介護認定通知書、介護サービス利用票や介護日誌、医療機関の領収書などの資料で客観的に証明する必要があります。母親の日常の生活状況を写した写真なども残しておくと良いでしょう。

5 寄与分の主張は、相続人間で遺産分割の協議をする中で主張することとなります。

客観的な裏付け資料を示して説明し、相続人全員の同意が得られれば、寄与の主張した相続人が、先ず相続財産から寄与に相当する部分を受け取り、更に残りの相続財産を相続分で分割し受け取ることになります。

相続人間での話し合いがつかないときは、家庭裁判に調停の申立をして解決することとなります。

以上

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