弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

相続のご相談

2011年10月01日 相続

  1 家事関係で最も多い相談は相続だと思います。今,様々なルートを経てこのコラムを読んでいらっしゃる方も相続の法律相談を求めてこのコラムに辿りついたのではないでしょうか。ですので,今回,相続の基本の基本について,触れたいと思います。

2 まず,相続が発生した場合には,遺言の有無を確認しましょう。後で触れる遺留分という問題はありますが,原則として,被相続人(亡くなられた方のことです。)の最終の意思である遺言に従って,相続は処理されるからです。

 次に遺言が発見できた場合には,自筆証書遺言などか,公証人に依頼して作成した公正証書遺言かを確認しましょう。公正証書遺言でない場合には,家庭裁判所での検認を経ねばなりません(民法1004条)。ですので,遺言の種類を確認する必要があるのです。

3 次に,遺言がない場合です。現時点で既に争いが生じている多くの場合,遺言のない場合だと思います。その場合,法定相続分での相続となります。

これは,よく知られているように,①子供のいる場合,配偶者1/2,子1/2,②子供のいない場合,配偶者2/3,直系尊属(祖父母も含みます。)1/3,③子供も直系尊属もいない場合,配偶者3/4,兄弟姉妹1/4です。なお,①と③の場合には代襲相続があります(民法901条。①子供がおらず孫がいる場合には孫が,③兄弟姉妹がおらず甥姪がいるときには甥姪が,それぞれ相続する,ということです。)。

 ときどき兄弟姉妹の方も法律相談に見えられるのですが,上記のとおり,兄弟姉妹の方は,子供も直系尊属(親)もいない場合に初めて相続することになりますので,法律相談の前によくよく確認することが必要でしょう。さらに,兄弟姉妹の方には遺留分がありません(民法1028条)。裕福だった兄が亡くなって(両親は既に他界。),子がおらず,兄嫁だけ残されたときで,遺言で兄嫁にすべての財産を与えることとした場合には,もはや文句はつけられません。これもご留意してください。

4 最後に税の問題です。税の問題については,避けることができませんが,以下のとおり,最低限必要な部分を確認しておけば,ほとんどの事例に対応できます。

すなわち,現行法上,相続税がかかるのは,相続のほんの一部に過ぎません。通常,基礎控除(相続税法15条。基礎控除は,「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」で計算するため,かなり高額になります。配偶者と子供2人でも,8,000万円の基礎控除額となります。)内の相続が殆どですから,多くの事例で相続税は問題とならないのです。

他方,相続税が問題となりそうな高額な相続の場合には,その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内に申告しなければなりませんので(相続税法27条),諸事テンポ良く進める必要があります。

5 最後になりますが,相続対策は,遺言が何よりも有効です。日本人の考え方として,なかなか遺言の作成に踏み切れないところはあるとは思いますが,争いを事前に避けることができる手段は他にありません。争いが起こりそうな場合は,こっそりではなく,推定相続人(配偶者や子供ら)とよく話し合って遺言を作成するというのが,極めて有効な手段です。

                                      以上

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