弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

不倫をした妻の親権?

2017年05月01日 離婚

1 不倫をした妻が夫と離婚する場合,未成年の子の親権者を確保できるでしょうか?逆に言えば,離婚原因に帰責事由のない夫が親権者となるのでしょうか?

 離婚事件の増加に伴い,不倫を理由とする離婚も大幅に増えています。そして,不倫も夫だけでなく妻の不倫も増え,不倫が夫だけの問題ではなくなっています。そこで,不倫で離婚する夫婦に未成年の子がいて,親権に関する夫婦の協議が整わない場合(調停等の場合),夫あるいは妻のどちらが親権を確保できるかという問題が発生します。

2 離婚の原因は妻にあり,また不倫という不道徳な行為を行なう妻には親権者としての資格はないという考えもあるかもしれません。しかし,実際の家事実務ではこのような考え方を採りません。家事実務では,未成年の子の保護の問題として,父あるいは母のどちらが親権を行使することが子の保護に資するかという観点で問題を解決しようとします。ですから,これまで誰が実際子を監護してきたか,父又は母と子のつながりの強さや程度,子の気持ちという要素が重視されることになります。特に,未成年の子が15歳以上である場合,家裁の調査官が子と面接し子の意見を聞くことになり,子の意見が尊重される傾向にあります。したがって,結論としては,不倫という帰責事由が妻にあっても,子の保護の観点から母親である妻に親権が認められるケースが多々あるということになります。要は,不倫は子の保護とは別次元の問題だということになります。ですから,不倫という負い目があっても,妻は堂々と親権の確保を主張することができます。

3 なお,妻の側に,薬物中毒やアルコール依存症,子に対する虐待といった事情がある場合には,子の保護の観点から妻は親権者としてふさわしくないという判断になる可能性はあります。その場合には,夫が親権者になる可能性が増加することになります。

                                                以上

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