弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

面会交流の実現に向けて

2015年04月01日 離婚

1 以前から、離婚後の子どもとの面会交流は、相手方が拒絶すると実現が困難となり、連れ去りや面会したまま子どもを返さないなど、子どもの奪い合いに発展してしまうケースも少なくありませんでした。

このような状況を改善すべく、民法766条の改正により、子どもとの面会交流が、離婚に際し協議で定めるべき事項として明示されました(平成24年4月1日施行)。これに伴い、離婚届にも面会交流についての取り決めの有無についてチェック欄が設けられました。

しかし、離婚届のチェック欄への記入は任意であり、未記入でも提出できるため、面会交流について合意できていない、あるいはそもそも協議すらしていなくても離婚は認められます。したがって、私見ではありますが、民法766条の改正及び離婚届のチェック欄は、面会交流を巡るトラブルの減少にはほとんど役立っていないといえます。

 

2 そこで、面会交流が円滑に実現できるよう、離婚時にしっかり協議しておくことが必要です。なお、面会交流は、抽象的には「子どもの福祉のため」と言われますが、現実的には夫婦双方(特に監護親)が納得していなければ実現できません。

面会交流を求める側(非監護親)は、子どもに会いたいあまり、自分の希望をすべて要求しがちです。また、監護親は、早期の離婚を希望するような場合、面会交流についてとりあえず非監護親の希望どおりの合意をしてしまうということも起こります。

しかし、このような決め方は、後々のトラブルを招く原因になります。非監護親は、自分の希望を踏まえつつ、監護親や子どもの物理的負担などにも配慮し、双方に過度の負担なく実現できる面会交流を考えることが、結果的には面会交流を円滑に継続できる可能性を高めるといえるでしょう。また、監護親は、合意した以上はそれを守る決意をもって真剣に検討すべきでしょう。合理的な理由なく、「とにかく会わせない」という態度をとる監護親もいますが、それが子どものためになるのか、そのような態度を子どもがどのような思いで見ているのか、冷静に考えて頂きたいところです。

 

3 なお、合意した面会交流が実現されない場合について、平成25年3月28日の最高裁決定により、面会交流の日時または頻度、面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められている場合には、間接強制が認められるという判断が示されました。間接強制とは、面会交流をさせない監護親に対し、一定の額の支払を命じ、心理的強制を加えることで面会交流の実現を促すものです。

しかし、間接強制が認められるためには相当詳細かつ具体的な合意がなされている必要があること、間接強制が認められたとしても物理的に面会交流を強制するものではないこと等からすれば、間接強制に期待することは適切ではなく、将来、間接強制に頼ることがないよう、離婚時に双方が納得できる協議をしておくべきだといえます。

とはいえ、面会交流の条件が妥当か否かを判断するのは困難ですし、どうしても感情的になってしまいがちですから、弁護士など専門家にご相談になり、慎重に検討されることをお勧めします。

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