弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

有責配偶者の離婚請求

2015年02月01日 離婚

  皆さん、離婚が問題となるケースで、「有責配偶者」という言葉を聞いたことはありませんか。言葉のとおり、有責配偶者とは「責任が有る配偶者」という意味で、特に不倫等の不貞行為を行った方を指します。そして、実務上は、有責配偶者からの離婚請求が認められるかが議論されます。

  では、有責配偶者からの離婚請求、例えば不倫をして愛人がいる夫から妻に対する離婚の請求が認められるでしょうか。このようなケースでは夫婦関係は既に破綻していますので、離婚を認めざるを得ないという考え方もありますが、結論は原則としてNOです。判例では、このような不貞を働いた者が相手方配偶者に離婚を求めることはけしからん、すなわち信義則に反するという理由で離婚請求を認めない取扱になっています。確かに、何の責任もない妻が離婚を強いられるという事態は我々の法感情にも反するものであり、判例の結論は妥当と思われます。ですから、不倫をした夫から妻は離婚を強制されず、妻は夫に継続的に婚姻費用を請求し、それで生活をすればよいことになります(婚姻費用の額が十分かは夫の収入によって左右されますが。)。

  では、有責配偶者からの離婚請求は常に認められないのでしょうか。有責といってもいろいろなケースがあり、不倫の程度も重いものから軽いものまであります。例えば、愛人と子供まで作っているようなケースでは有責配偶者からの離婚請求は難しいと思われますが、一時的な不倫でその程度が重いものではない場合には離婚が認められる場合があります。そして、夫婦間の子供の有無、相当額の慰謝料の提示の有無、妻の離婚後の生活への相応な配慮、別居期間も年数(3年ないし5年程度か)等を総合的に考慮し、場合によっては離婚が認められるケースがあるのです。したがって、夫の不倫があるから離婚は一切認められないと高をくくっていると、「そんなはずじゃなかった。」という結論になります。ですから、妻側の対応も注意する必要があります。

  離婚はある意味では悲しい出来事ですが、再スタートという観点もあります。ですから、不倫するような夫とは決別して新しい人生をおくるという選択肢もありますが、離婚時の年齢や生活力の問題もありますので問題は簡単ではありません。特に、経済的弱者であることが多い妻の場合、離婚の選択をするのかどうかは本当に難しい判断になります。この点が弁護士としても一番悩ましい部分です。

一覧へ戻る
一覧へ戻る