弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

住宅ローンと財産分与

2014年01月01日 離婚

1 財産分与とは、離婚した者の一方が他方に対して財産の分与を求める権利をいいます。

  財産分与には、①夫婦が婚姻中に協力して得た財産の清算、②離婚後の経済的弱者の扶養、③相手方の有責な行為により離婚させられたことについての慰謝料という3つの意味があります。  

2 婚姻中に取得した夫婦の居住用不動産は、清算的な意味において、財産分与の対象となります。

  しかし、離婚時にその居住用不動産の住宅ローンが完済されていない事例は珍しくないでしょう。

  このような場合、居住用不動産の財産分与は、どのように考えられるでしょうか。

(1)    居住用不動産の価格が、ローンの残額を超えている場合

この場合、離婚時の不動産の時価から住宅ローンの残額を控除してその残りを清算の対象とするというのが一般的です。

 例えば、妻が専業主婦で、不動産購入の頭金を夫の給料の積立てから支出し、ローンも夫の給料から支払ってきたという具体例について、考えてみましょう。

 離婚時の不動産の価格を3,000万円、ローンの残高を1,000万円とすると、清算の対象は3,000万円から1,000万円を差し引いた2,000万円となり、これを二分の一ずつに分けると分与額は1,000万円になりますから、結局、不動産の持分の3分の1に相当する財産が、財産分与の対象ということになります

 そうすると、実際の解決方法としては、①夫が不動産を全部取得してローンを払い続けることにして妻に1,000万円を支払うという方法、逆に、②妻が不動産を全部取得してローンの残額を払うことにして取り過ぎた分の1,000万円を夫に支払う方法が考えられます。また、③不動産を売却してその売却代金から税金やローン残額を控除し、残りを二分の一ずつ分ける方法も考えられます。

(2)    居住用不動産が、オーバーローンの場合

 離婚時に、ローンの残高が、居住用不動産の価格を上回っている場合にはどのように考えるべきでしょうか。

 この点、東京高裁の平成10年3月13日の決定は、「夫婦の協力によって住宅ローンの一部を返済したとしても、本件においては、当該住宅の価値は負債を上回るものではなく、住宅の価値は零であって右返済の結果は積極財産として存在していない。そうすると、清算すべき資産がないのであるから、返済した住宅ローンの一部を財産分与の対象とすることはできないといわざるを得ない。」と判示しています。すなわち、居住用不動産がオーバーローンの場合、居住用不動産の価値は零なので、それのみで財産分与の対象とはなりません。

 しかし、他に積極財産がある場合には、他の積極財産との関係で、夫婦の一方に居住用不動産を取得させることにより解決する方法が考えられます。

また、夫婦の一方に資力がある場合には、資力のある側に居住用不動産を取得させ、住宅ローンの支払いを継続させるという解決方法が考えられます。

3 以上に対して、離婚後の妻及び妻が引き取った子の住まいの確保という観点から、居住用不動産の財産分与をすることが考えられます。

この場合の財産分与には、単なる財産の清算という意味だけではなく、扶養的な要素も含むことになります。

  例えば、妻及び子が不動産に居住していることを考慮し、妻に不動産を取得させ、適正な分与額を超過した分について、金銭債権を妻に負担させた審判や、不動産を夫に取得させ、妻に対し金銭支払いを命じた上、賃借権の設定を認めた判例(浦和地裁昭59.11.27)があります。

4 まとめ

離婚後に、それまでに家族で居住していた不動産をどのように処分するかは、離婚する当事者及びその子にとって、重大問題です。

しかし、上述したとおり、住宅ローンが完済されていない居住用不動産の財産分与には、様々な解決方法があります。

  離婚する際、夫婦の共有財産として居住用不動産がございましたら、その財産分与について、より良い解決を目指すためにも、お近くの弁護士にご相談ください。

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