弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

離婚について争いが生じる場面と子ども

2013年05月01日 離婚

 配偶者の片方が離婚を望むがもう片方は望まない場合や、双方とも離婚すること自体に争いはないが財産分与・慰謝料や親権・養育費等についての意見の隔たりが大きい場合に、法律相談等を通じて弁護士が代理人となり、交渉や調停がスタートすることになります。

 まずは交渉や調停段階でお互いが歩み寄れればいいのですが、そうも行かないことは多く、最終的な結論に至るまでの経緯では、お互いが自分の立場からの主張をなし、相手からの主張に対しては自分の立場から反論をしていかなければならないことになります。そのやりとりの内容は、心理的に負担になるものも多いでしょう。

 そこで、離婚事件の依頼を受ける際には、離婚のためには、これをやりとげるための強い決意が必要であることと、その決意は今後の自分のことだけに向かうもので、離婚後の相手方のことに配慮する余裕などはない、と必ず言うことにしています。

 しかし、子どもがいる場合は、上記のような決意が、問題につながることもあります。

 自分の立場からの主張と、それに対する相手方からの主張への反論は、ややもすると相手方の人格に対する非難とも取れる内容になりかねません。しかし、相手方に子どもが同居している場合、そのような相手方を非難するような内容が子どもに伝わってしまい、子どもの自分に対する信頼や尊敬が損なわれてしまう結果につながってしまうことがあります。上記の決意も、子どもなど第三者が見たらどう思うか、という冷静さを併せ持っていなければならないのです。

 ただ、逆の立場であれば、いくら自分に対して非難を受けたとしても、それは離婚について争いとなった当事者間ではある程度は仕方ないことであると割り切り、自分のところに留めておく必要があると思われます。子どもにとっては双方とも親であることに変わりはなく、子どもの親に対する信頼や尊敬を損ねさせかねない行動に出ることは、子どもの健全な発育にとっても悪影響を及ぼしかねないことです。

 どちらの立場にせよ、自分の離婚に向かう覚悟と、子どもの親に対する感情は別であることを忘れずに、子どもを親の問題に巻き込んでしまうことは極力避けなければならないことは頭に置いておいてほしいと思います。

 さて、離婚に伴い、子どもに関して争いになることが多いのは、養育費・親権はもちろんですが、子どもの親権を持たない側が、子どもに定期的に面会をおこなういわゆる「面接交渉」に関する事項です。先般、民法が改正され、協議離婚の際、親と子の面会については協議事項であることが明文化され、離婚届にも、面会についての協議がなされたかどうかを確認する欄が新設されました。

 面接交渉に関しては、離婚に際して当事者間で定めた面接交渉の方法や回数通りに行われていればよいのですが、種々の事情から面接交渉が行われなくなることが多いです。

 この場合、面会できない側にとっては、定めた通りの面接交渉を求めたいところですが、かといって相手方の居所等から子どもを無理矢理連れて行くことは、法的にはいかなる方法でも許され難いところです。そこで、「面会させろ。もし今後面会させない場合は、その都度○万円支払え」と、面会させないことにペナルティーを与え、間接的に面接交渉の実現を求める方法が考えられます。(このことを間接強制といいます)

 面接交渉について、間接強制の方法で実現を求めるやり方を認めるかどうかは、場合によって判断が分かれてきましたが、この度(平成25年3月28日)、最高裁判所から、当事者間での面接交渉に関する定め方(日時・頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡し方法、等)いかんによっては、間接強制をなすことが可能という判断がなされました。

 そのため今後は、面接交渉について、最高裁判所のいうような定め方を求める側と、そこまでは決めたくないという側での争いが増えることも予想されます。

 しかし、実の親子関係のある親と子の面会については、子どもの健全な発育という観点から求められる場合も多々あるところです。繰り返しとなりますが、離婚を争うエネルギーを持ちつつも、子どもへの配慮という冷静な視点は忘れないことが肝要と思われます。

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