弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

面接交渉が履行されない場合の手段

2011年07月01日 離婚

  1 夫婦が離婚する場合、面接交渉(非監護親が離婚後に子供と面会等を行うこと)をどうするかが問題になることがあります。今回は、面接交渉について定められたにもかかわらず、正当な理由なく応じようとしない相手方に対し、どのような措置をとることができるのかについて述べたいと思います。

2 面接交渉については、監護親・非監護親間で交渉し、任意での合意が難しい場合は、調停手続きによる解決を図り、また、調停においても合意に至らない場合は、家庭裁判所の審判により決することになります。

3 しかし、任意の合意・調停・審判において面接交渉について定められた後、何ら正当な理由がないにもかかわらず、単に感情的な理由で、子供を監護している親(以下、「監護親」といいます)が、監護していない親(以下、「非監護親」といいます)に面接交渉をさせないという事例も時折見受けられます。なお、監護親の立場からすると、面接交渉を認めるべきでない正当な理由があるなら、その旨を再度調停・審判の場で主張して、面接交渉の条項の変更を図ることもできますが、ひとまず本稿は正当な理由なく面接交渉が履行されないケースを想定することとします。

4 正当な理由なく面接交渉をさせてもらえない場合、非監護親の側としては、次のような対応が可能か検討することになります。

① 履行勧告

面接交渉権が調停または審判で確認されている場合は、家庭裁判所に申出を行って、履行勧告を行ってもらうことができます。

② 調停

面接交渉を求めて、再度の調停の申立てを行い、その手続きの中で解決を図ることも考えられます。

③ 強制執行(間接強制)

調停または審判により定められた面接交渉条項は執行力ある債務名義になりえ、面接交渉権も強制執行によって実現することができます。その場合の強制執行方法は間接強制と呼ばれる方法になります。これは、面接交渉をさせない場合に一定の金銭(間接強制金)の支払を命じることで、監護親に心理的圧迫を加え、間接的に面接交渉を実現させようというものです。ただし、面接交渉条項の定め方によっては、給付条項性の有無や特定性等の点から、強制執行(間接強制)が否定される場合もありえますので注意が必要です。

④ 慰謝料の請求

面接交渉の実施を理由なく妨害する場合には、慰謝料の支払が認められることがあります(慰謝料支払を認めた裁判例として、静岡地裁浜松支部平成111221日判決判例時報171392頁)。

⑤ 親権者・監護権者の変更

監護親が子供の監護養育者として不適格な事情がある場合には、親権者・監護権者の変更の申立てを行うことも考えられます。

5 以上のとおり、面接交渉が実現されない場合でも、解決を図るための方法はいくつかあります。

しかし、面接交渉を拒否する理由がないケースにもかかわらず、以上のような手段をとらざるをえないこと自体、決して望ましいことではありません。

非監護親と子供との間の親子関係は父母の離婚後も続きます。非監護親との親子の人間関係を維持し、育むことの利点は、子供の成長や将来にとっても大いに有益であろうと思われます。また、非監護親からすれば、我が子と会いたいという気持ちを強く持つのは父母としての当然の感情であり、長期間我が子と会うことすらできない悲しみは察して余り、相談を受ける弁護士としても、やりきれない思いをすることがあります。

一覧へ戻る
一覧へ戻る