弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

離婚に伴う財産分与について

2009年09月01日 離婚

1 夫婦が離婚する際、子供の親権をどちらが取得するのか、養育費をいくら支払わなければならないかということが争われることがよくあります。
それと並んで、夫婦間で一方から他方に対してどのような財産を分与するのかということも問題となります。

2 民法には、離婚に伴う財産分与について当事者間に協議が整わないときには、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができるという規定があります(民法7682)
この財産分与には①夫婦が婚姻期間中に取得した共有財産の精算という意味と、②夫婦の一方が他方に対して離婚後も扶養を継続するという意味
(昭和38年10月9日仙台家裁審判昭和38年(家)第85号)、③有責配偶者に対する慰謝料請求的側面があるといわれています。

3 婚姻中の夫婦の財産は、特有財産、共有財産、実質的共有財産とに分類できます。このうち、特有財産は、婚姻前から各当事者が所有していた財産、婚姻期間中に相続、贈与等を受けて相手方とは無関係に取得した財産などと意味します。
共有財産とは、夫婦が婚姻期間中にその共同生活を営むために取得した財産などを意味します。
実質的共有財産とは、名義は一方当事者であっても実質的には共有財産と認められるものを意味します。
これらの内、特有財産は財産分与の対象にはなりませんが、共有財産又は実質的共有財産については、財産分与の対象となります。

4 第三者名義の財産は原則として財産分与の対象とはなりませんが夫婦が婚姻中協力して形成した財産であり、夫婦の一方が事実上支配又は支配しうる財産である場合には、財産分与の対象となります。
判例には、営業が養父母夫婦と当事者ら夫婦との共働によつて営まれ、また右営業がその実質は家族経営の域を出ないものであることからみると、その名義を問わず一家に蓄積された資産は養父母ならびに当事者夫婦の共働によつて形成された共有財産とみるべきものであるから、右資産は財産分与の対象となる。」としたものがあります
(昭和44年1月10日札幌高裁決定昭和42年(ラ)第72号)

 最近起こったある事件では、子供2人の名義で数千万円単位の貯金がありました。
これらが財産分与の対象になるかが争われた事案がありました。
この点、妻が、夫名義の預金口座または妻名義の預金口座から子供名義の口座に送金した部分については、夫婦の共有財産ということで財産分与の対象となりました。これに対して、元夫の祖父母が毎月教育費や孫への小遣いということで
2人の子供に対して定期的に送金がなされていたものが蓄積されたものについては、財産分与の対象にはなりませんでした。

5 婚姻期間中に住宅(不動産)を購入した場合、その不動産と住宅ローンをどのように処理するのかということが問題となります。
住宅ローン返済中の不動産の価値をどのように考えるかということについて、不動産の時価から残債務額を差し引くという考え方があります。
これに対して、過去の裁判例では、それまでに支払つた住宅ローンの総額から利息分を控除した元金充当分の合計額が当該不動産の実質的価値を表しているとみるのが相当であるとして、その合計額の2分の1の金額の財産分与が命じられた事例があります
(昭和60年9月5日名古屋高裁金沢支部決定昭和59年(ラ)第33号)

 オーバーローン状態の不動産を抱えている場合には、妻か夫かいずれかが不動産を取得してどちらかが住宅ローンを払い続けるか、それが無理ならば不動産を売却せざるをえないこととなります。

6 なお、財産分与は離婚後にも請求できますが、離婚が成立したときから2年以内に請求しなければなりません。

                                     以上

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