弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

離婚相談における信頼関係

2008年12月01日 離婚

 今回のコラムは、目線を変えて、相談を受ける弁護士(私)がどんなことを考えているかについてのお話です。

当然のことですが、離婚に関する相談は、相談者の人生に重大な影響を及ぼす事項についての相談ですので、相談を受ける弁護士の責任は重大です。

一般的に離婚相談は数が多く、一定の経験を積めば、ある程度事件の見通しがつけやすい(すなわち、法律的な回答にそれほど迷わなくてよくなる)という面もありますが、正直、内容の重さに気が滅入るときもありますし、親権や養育費がからむ場合など、事件としては終了した後も、継続して相談にのることも少なくありません。

また、ときには、離婚したい(または離婚したくない)という意思が固まっておらず、離婚しようかどうしようか迷っているケースもあります。
弁護士としては、離婚した場合の権利義務関係など、あくまで法律的にどうなるか、ということについて意見を述べることになりますが、相談者からはそれ以上に踏み込んで意見を求められることも少なくありません。
相談者の人生の岐路における進むべき道についてアドバイスをすることになるので、当然慎重にならざるをえません。

いずれにしても、ある程度踏み込んだ回答をする際には、相談者との間に一定の信頼関係が築かれていることが不可欠だと思います。

 以前、知人からの紹介で、30代の女性から離婚の相談を受けたことがありました。
夫が浮気したので離婚したいとのことでした。
相談内容としては珍しいケースではなく、むしろよくある相談といえます。
ただ、離婚事件は配偶者への積もりつもった気持ちがありますし、夫婦の歴史もあります

辛抱強く聞いていくと時間がかかるものです。
彼女の場合は、仕事が終わってから相談に来たいというので、夜遅くまで3時間程度相談にのり、法律的なアドバイスをしました。
受任する可能性がありましたので、相談料は後日協議ということになりました(受任する場合は、着手金と別に相談料をもらうつもりはありませんでしたので)。
しかし、その後、相談者からの連絡はありませんでした。
相談者はいたって普通の方であり、特にお金に困窮しているわけでもありませんでした。
紹介者に話せば連絡をとるように手配してくれると思いますが、そうはしませんでした。
夫と話し合いがついたなどの何らかの理由で弁護士の必要がなくなれば相談料を払っていないことを忘れる(または督促されるまで放っておく)ような人と将来的に弁護士としてお付き合いをし、信頼関係を築くことは困難だと思うからです。

   しばらくして、また別の知人から紹介されて、30代の女性から離婚の相談を受けました。
やはり夫の浮気という理由でした。
これも3時間程度相談にのり、法律的なアドバイスをしました。
しかし、その後は、全く同じで、何の連絡もありませんでした。

  彼女たちが無事問題を解決して人生を再び前向きに歩き出していることを祈るばかりですが、同じようなことが続くと相談を受けているこちら(弁護士)に問題があるのではないか、と落ち込みました。

  また、しばらくして、離婚の相談がありました。
これは法律相談センターでの相談からの継続相談でした。
今度は70代の女性の相談であり、夫の女性関係に財産・相続問題が絡まり、やや複雑な事案でした。
これも受任の可能性が高かったので、相談料は後日としました。
結局、ご本人が体調を崩され、離婚どころではなくなったので、受任はしないということになりましたが、相談料をまだ支払っていないことが気がかりだとおっしゃって、相談料はきっちりと支払ってくださいました。

 弁護士も人間です。
相談料の多寡の問題ではなく、相談料を全く支払わなくても自分からは言い出さないし、その後どうなったかについても全く報告しない、紹介者の立場も慮らない、というような人の代理人として仕事することは、できれば避けたいというのが本音です。

  受任することになれば、少なくとも事件が終了するまでは、人間関係(お付き合い)が続くことになります。

  もちろん、弁護士は、常に全力を尽くして仕事をすべきです。
ただ、相談者の方も、弁護士に一所懸命やってもらえるように、十分な信頼関係を築くべく一定の配慮(今回は相談料の話をしましたが、これは一例にすぎません)をされた方がご自身にとっても得策であるように思われるのです。

  もっとも、相性の問題もあるので、場合によっては、セカンドオピニオンなどを求めて、複数の弁護士の法律相談を受けてみる手もあります。

  いずれにしましても「餅は餅屋」などといわれるとおり、離婚などの家庭法律問題に悩んだら、まずは経験豊富な専門家(弁護士)のいる、弁護士会家庭法律相談センターへどうぞ。

一覧へ戻る
一覧へ戻る