弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

不倫による別居と離婚

2007年03月01日 離婚

一組の男女が夫婦となるにはいろいろな経緯があります。
 
   あるいは、熱愛の末
    あるいは、しおどきだからと考えて
    あるいは、できちゃったから。
 いずれにしても、離婚を前提に結婚した人はなく、「永遠の愛」を誓って結婚したはずであり、多くの場合は周囲からも祝福されて結婚したのです。
 しかし、「君しか愛せない」と言って永遠の愛を誓った人が、いつしか「君でない人を愛して」しまうことがあります

    あるいは単身赴任先で知り合って
    あるいは職場の上司や部下、先輩・後輩・同僚と
    あるいは同窓会で昔の恋人と会ってなどなど。

 こうして、ある人はためらいながら、ある人はなりゆきで、ある人は軽々と、一夫一婦制の「垣根」を超えてしまうのです。
 いわゆる不倫です

 そうなると、今まで穏やかだった夫婦間に大きな破綻の波紋が広がります。
 
夫婦が破綻すると家庭は崩壊に至ります。責められるべきは不倫をした配偶者です。
 
しかし、昔も今も、家庭を崩壊させる原因を自ら作っておきながら、身勝手にも離婚を請求する人がいます。

「有責配偶者からの離婚請求」という問題です。
 最高裁判所は、かつて、この問題について
 「有責配偶者から離婚請求するなど身勝手なことはまかりならぬ
との判決を下しました。
 自ら原因を作っておきながら離婚の請求を認めることは、誠に身勝手で信義に反することです。また、自分で離婚原因を作っておきながら離婚請求することを認めれば、配偶者を自由に追い出すことも可能という不合理な結果をもたらしかねないからです。

 この判例によれば、不倫した者は相手が「うん」と言わない限り一生離婚できないことになります。不倫された方は「うん」と言わないことで、相手 を困らせることができます。
 ところが、不倫の結果、長年別居が続いて、別居状態があたりまえになり、不倫が「昔話」になってまでも当事者を「籍」に拘束したままにすることは、どうなのだろうかという考えも出てきました。
 
破綻の原因がいずれにあるにせよ、破綻してしまった当事者を夫婦として拘束しておくことに意味があるのだろうかというのです。

 昭和62年、最高裁判所は別居期間38年の夫婦について
   別居期間が当事者の年齢や同居期間にくらべて長期になって
        い
ること

   未成熟子がいないこと
   離婚が相手方にとって苛酷な結果にならないこと
を条件として、離婚請求を容認することとしました。
 昭和62年の判例のケースは別居期間が38年でしたが、その後別居期間が約8年で容認された例もあり、また否定された例もあり、別居年数が軽減されるようになりました。
 他の条件も緩和される傾向にあります。

 身勝手な請求は許してはならないという考え方と、破綻してしまった夫婦をいつまでも拘束しておいてもよいのかという考え方をどこで調和させるかという問題です。

 不倫して、不倫相手と同居して5年もたっている、5年別居していれば離婚できると聞いたのだが、という質問を受けたことがあります。
 確答はできません。

 安易に離婚請求を認めることは、不倫を肯定し、助長することにもなりかねないので難しい問題です。

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