弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

離婚と氏と子ども

2005年10月20日 離婚

日本では、これまで夫婦別姓について議論されてきていますが、まだ実 はしていません
そこで、結婚をすると、夫婦のどちらかは、自分の氏を相手の氏に変更する必要があります
最近では、名前が変わってしまうのを嫌って、実体としては結婚をしているのと同じですが、婚姻届を出さない内縁関係を選択する人たちもいます。婚姻届を出していなければ、どちらかの氏を相手の氏に変える必要はありませんので、別れるときにも問題はありません。

婚姻届を出して、法律上の結婚をした夫婦が別れるときには、自分の氏を結婚の際に変えた方の当事者は、離婚するときに結婚前の氏に戻るか、そのまま結婚のときに選んだ氏を使い続けるか、自由に選ぶことができます。
ただし、結婚前の氏に戻ることが原則で、そのままの氏を使い続けるときには、届け出が必要となります。

A子さんとB夫さんは、小学生の子どもが1人いる夫婦でした。
しかし、いろいろな事情が重なって、離婚をすることになりました。
離婚をすることについては、A子さんとB夫さんのどちらも納得していましたが、問題は、子どもの親権者にどちらがなるかということと、子どもの氏をどうするかということの二つでした。
A子さんもB夫さんも子どもを大変かわいがっていたので、どちらも自分が親権者になると言って譲りませんでしたが、家庭裁判所の説得もあって、結局A子さんが子どもを手元において育てることとなりました。
A子さんとB夫さんの夫婦は、結婚のとき、夫婦でB夫さんの氏を名乗ることに決めました。つまり、A子さんの氏をB夫さんの氏に変えました。
ただし、A子さんは、結婚前の氏を通称として使用して、結婚後も仕事を続けてきていました。
このようなA子さんとしては、戸籍上の氏と通称の氏が違うことには、不便な面があり、また仲違いをした夫の氏を名乗り続けることには抵抗があったので、離婚を機に、戸籍上の氏を結婚前の氏に戻そうかと思いました。
ところが、よく考えてみると、自分の手元で育てる予定の子どもは、今までの学校にそのまま通い続けることになっており、そこで、自分と一緒に住むのだからと子どもの氏まで変えることは、友だちからいろいろと質問をされるでしょうし、子どもにとって負担が大きいことに気づきました。

親が離婚をしても、子どもの氏は当然には変更になりません
同時に、戸籍上も、離婚をした夫婦の一方が家族の戸籍から除かれるだけで、子どもの戸籍には変更はありません親の離婚に際して、子どもの氏を変えて子どもの戸籍を移すには、子どもの氏について家庭裁判所に変更許可の申立をする必要があります。

結局、A子さんは、子どもともよく話をした末、子どもと一緒に、これまでどおりB夫さんと同じ氏を名乗ることに決めました。
夫婦別姓の実現は、まだ具体的になっていませんので、もうしばらくは、これまでどおり結婚の際、離婚の際に、氏について一体どうするのか、選択を迫られる状況が続くこととなります。
結婚のときも離婚のときも、いろいろと考えなければならないことはたくさんありますが、自分のことを表す氏についても、よく考えてより良い選択をしていただければと思います。

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