弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

離婚とこども

2005年10月01日 離婚

 婦が別れることは、1つの家族がばらばらになることでもありま す。そんなとき、とても悲しい思いをするのが、家族の一員である子どもです。子どもはいつも、お父さんとお母さんとみんなで一緒に暮らしたいと願っています。浮気が発覚したなど何らかの事情で離婚を決意して、弁護士のところを訪れてみたものの、子どもがどうしてもお父さんとお母さんと一緒に暮らしたいと言うので離婚は考え直すことにした、というケースもあります。
  しかし、このような子どもの願いが叶わず夫婦が別れて暮らさなければならないとき、子どもはどうなるのでしょうか。

 親権について

  離婚をしたり夫婦が別居する場合、夫婦が一緒に住むことができない以上、子どもはどちらかの親のもとで育てられることになります。子どもをどちらの親が引き取るかを巡って、このごろでは、母親だけでなく、父親も自分が子どもを引き取りたいと強く希望して、ときには子どもの祖父母まで巻き込んで、激しい争いになるケースが増えています。
  こうした争いは、離婚事件の中では、通常はどちらが親権者となるかという争いになります。離婚をするには、両親のどちらか一方を親権 者と決める必要がありますから、これが話し合いで決まらなければ、最終的には裁判所が、専門的な知識をもっている調査官の調査を活用するなどして、子どものことを一番に考えて、父親と母親のどちらのもとで育てられるのがよいかを判断することになります。このときには、子どもの年齢や、離婚をするまでの子どもの生活状況、両親の生活状況、兄弟姉妹との関係など、子どもを取り巻くいろいろな個別の事情が判断材料となります。

 面接交渉について

  子どもと別れ別れになってしまう方の親としては、子どもに会いたいと思うことでしょう。離婚をしても、子どものために夫婦が上手に連携をとれるのであれば、離れて暮らしている親が子どもと会うことは難しくありません。

  しかし、子どもをどちらが育てるか激しい争いになった末に子どもが一方に引き取られることとなった場合、それから、夫婦の仲がとても険悪になって離婚をするに至ったような場合には、子どもと離れなくてはならない側の親が、今後、子どもに会わせてもらえるかどうか分からないということがあります。
  このような場合、子どもと離れて暮らす親は、家庭裁判所を通じて、子どもとの面接交渉を求めることができます。面接交渉の最も大きな目的は、親のためというよりも、子どものためですから、面接交渉ができるかどうか、その方法はどうするかなど、具体的なことは子どものことを最優先に、裁判所を交えて考えていくことになります。子どもがしばらく一方の親と会っていない場合など、必要に応じて、裁判所の中で、子どもを親に会わせてその様子をみることもあります。
  夫または妻としてはひどいと思われる相手でも、子どもにとってはかけがえのない父親であり母親ですから、親が勝手にもう一方の親に会わせる必要がないと思っても、子どもにとっては必ずしもそうではありません。

 子どもがどちらか一方の親と暮らしているとき、一緒に暮らしている方の親が、子どもに対して、離れて暮らしている親のことを悪く言ってしまうことがあります。夫の浮気を疑った妻が子どもに対して、「お父さんは他に好きな女の人ができたから、もうお母さんとあなたのことは嫌いなのよ。」と言ったり、父親が自分が親権者になりたい一心で、母親の悪口を子どもに書かせた作文を持ってきたというケースもありました。

  このようなとき、子どもはどちらの親も大好きですから、とても悲しい思いをします。悲しい思いをするだけでなく、このようなことがあると子どもは一方の親の言うことを信じてか、途端にもう一方の親のことを、もう会いたくない、怖いなどと言い出します。あるいは、大好きな親のことを悪く言った親の方に反感をもち、嘘つきだから大嫌い、ということになってしまう場合もあります。いずれにしても、子どもの心は深く傷ついてしまいます。
また、親が、子どもの親権をとりたいと願って子どもに相手の悪口を吹き込んでみても、このような行為は、子どもをいたずらに傷つけるばかりで、親権者になりたいと願う親が、本当に親権者にふさわしいかどうかを決めるとき、有利にはたらくものではありません。

  離婚は、夫婦にとってとても辛いものですが、子どもにとっても大変に辛いものです。弁護士は心理学者ではありませんけれど、離婚の問題を引き受ける際には、より良い解決のため、法律的な問題をだんだんと整理していくことを通じて、気持ちの整理の手助けができればと願っています。辛い気持ちは、子どもにぶつけるのではなく、まずは弁護士にも話をしてみてください。弁護士に、こんなことを話してもいいのかしら、と思われることもあるかも知れませんが、法律相談でも 事件を依頼する際にも、まずは何でもお話くださるとよいでしょう。

  離婚の事件に限りませんが、ご本人がこんなこと、と思うことでも、法律的に、あるいは事件の解決にとって重要なことがらである場合が多くあります。事を起こす前に、専門家のアドバイスを得ることは、後の紛争を防ぐ手段の1つです。離婚は子どもを含む家族1人1人の新しい生活の始まりでもありますから、少しでも良いスタートとなるよう、そしてなるべくならば1人で問題を抱え込んでしまわないよう、まずは早めのご相談をおすすめします。

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