弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

少年事件エトセトラ

2012年06月01日 親子

1  弁護士会の法律相談センターの対象となる相談は、家事相談ですが、家事といえば、離婚や相続に限らず、子供たち少年の事件も考えられるところです。ご承知のとおり、家庭裁判所は、家事事件のみならず、少年事件をも主要な事件として取り扱っております。

そこで、今回のコラムでは、少年事件について簡単にお話ししていきたいと思い

ます。

2  そもそも「少年」とは、満年齢で20歳に満たない者(少年法21項)を言います。

そして、同法1条はその目的を掲げており、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年及び少年の福祉を害する成人の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。」としております。

一般的に皆さんが想起される刑事事件を対象とする刑事訴訟法1条が「公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現する。」としていることと対照的であることがご理解いただけるかと思います。

3  少年事件において、審判に付する少年を分類すると、下記のとおりとなります。

  ①犯罪少年:14歳以上20歳未満で犯罪を行った者

  ②触法少年:犯罪に該当する行為をしたが14歳未満、すなわち刑事未成年の為、刑法

上処罰されない者(※刑法41条)14歳未満である他は①と同様。

  ③ぐ犯少年:犯罪に該当する行為を行ってはいないが、将来罪を犯すおそれがある等

一定の事由に該当する者(犯罪に結びつくような問題行動があって要保護性は高い

が犯罪に至らないような少年)

4  少年審判の対象となるか否かは、非行事実の存否及び要保護性の有無及びその程度により判断されます。

この要保護性は、①非行を繰り返す危険性、②家庭裁判所が処遇として保護処分を選択する相当性(保護処分が少年に対し適切か)、③矯正可能性、という要素により判断されているようです。

5  全件送致主義

   少年事件では、少年に対する処遇決定・手続の選択を家庭裁判所が行う為に、家庭裁判所に全ての事件の送致を捜査機関に義務づける全件送致主義が採用されております(少年法41、42条)。刑事政策の観点についても、少年を専門に扱い、調査も十分に行うことの出来る家庭裁判所による判断が望ましいとされた為です。

6  ここで少年事件の流れを簡単にまとめますと下記のようになります。

     家庭裁判所送致前~成人事件と基本的には同様です。

    すなわち、警察によって逮捕・勾留されます。

    この段階では特に身柄拘束からの早期解放活動(学校活動、就職先等への影響があるため)が必要となります。この段階で弁護士に相談し、弁護士を依頼することも出来ます。

     家庭裁判所送致~ここでは観護措置をとられるか否かが当該少年にとり大きな分水嶺となります。観護措置とは、少年を少年鑑別所に送致する決定及びその執行を言います。少年本人あるいは環境に問題が多い少年は鑑別所に収容され、各種調査等されることになります。この観護措置の期間は、法文上、原則2週間とされているが、実際にはほとんどの事件について期間が延長され4週間となっていることが多いようです。

     このように少年にとっては、観護措置となると一定期間施設に収容されることになってしまうため、家裁送致の際に、観護措置をとらないことを求める意見書の提出をしたり、観護措置についての取消の申立、異議申立をすることが可能です。

もちろん、このいずれの対応についても弁護士に相談・依頼できます。

     この家庭で、家庭裁判所調査官が現れます。非行の人格的環境的要因を包含する少年の要保護性を調査し、その調査結果を裁判所に報告し処遇意見を述べる役割です。

      審判

     審判とは、裁判官が審判期日に少年、保護者等に直接面接をし、行う審理及び裁判のための手続です【少年法22条第1項】。

    審判は、懇切を旨として、和やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならないとされています。

この審判期日は、家庭裁判所で行うのが原則です。非公開であり、傍聴人はおらず、通常は裁判官、書記官、調査官、少年本人、保護者、付添人がいる場合付添人、その他学校の先生、雇用主が出席することもあります。

審判の主な流れは次のとおりです。

  

  人定質問→黙秘権の告知→非行事実告知→少年及び付添人の陳述聴取→

非行事実審理→要保護性に関する事実審理→調査官及び付添人の処遇意見聴取

    →終局決定告知

  

なお、処分としては

審判不開始決定

      審判開始決定

       不処分決定

       保護観察

児童自立支援施設・児童養護施設送致決定

試験観察(在宅試験観察)決定

試験観察(補導委託)決定

少年院送致決定

     初等・中等・特別・医療

     特別短期処遇・一般短期処遇・長期処遇

       検察官送致 

     があげられます。

7  さいごに

   少年事件に関して、ごくごく簡単にお話ししてきました。

   本来は、家庭法律相談センターが少年事件についてもお手伝いしたいところですが、現時点では専門相談制度として十分な態勢が整っておりません。

   しかし、少年事件の相談については、一般の弁護士会の法律相談をご利用いただけますし、万一皆さんの回りに少年事件で逮捕等拘束を受けた少年がいらっしゃったら、是非、当番弁護士センター(東京地区は、0335800082)にご連絡ください。

                                    以  上

 

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