弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

養子にまつわる話

2011年05月01日 親子

  1 養子縁組は、戸籍法の定める届け(養子縁組届)を本籍地等の市区町村に届け出なければ効力が生じません。一方、特別養子縁組を除いて、養子となった場合でも実親との親子関係は切断されるわけではなく、そのまま残ります。養子縁組を解消することなく、別の養子縁組を行うことも可能であり、転養子と呼ばれています。

 養子関係が影響を及ぼすことになった事例を2つ紹介します。

2 最初のケースは、養子縁組をしていなかったために、当事者の一部に不本意な結果となったケースです。

 このケースでは、相談者の父が相談者を含む子らが成人になってから、やはり成人の子を有する女性と再婚したものです。双方、子が成人であったこともあり、特に養子縁組はしませんでした。しかし、相談者らは実家で父と同居することになった女性を母同様に慕っていました。一方、女性と実子とは疎遠になり、子同士が顔をあわす機会もありませんでした。その後、相談者の父が死亡したため、相談者を含む子らは、残された女性がそのまま夫婦で暮らしていた家に引き続き住めるようにと、家屋を女性に単独で相続させました。

 問題が起きたのは、その後、女性が死亡した際です。相談者らは女性とは養子縁組をしていなかったので、法的には他人となり、女性の相続人は実子のみとなります。したがって、相談者らが生まれ育った実家は、相談者らから見ると他人に相続されることになるのです。

 女性が遺言を残さなかった以上、法的にはこのような結論にならざるを得ませんが、相談者らが割り切れない感情を抱くのも理解できます。将来を見据えて縁組の必要性を考慮することが大切と考えさせられました。

3 二つ目のケースは、養子となったことで実親子関係は切断されると誤解していたケースです。

 相談者は幼いころ両親が離婚し、当時、相談者を引き取った母親が病気がちだったため、母方の祖母に引き取られ、祖母の養子として成長しました。相談者の実母は回復後、再婚し、子供(妹)も設けました。相談者は実母とは離れて暮らしていたため、交流は密ではなく、実母が死亡したときも連絡はすぐには入りませんでした。その後も妹が自分からの連絡を避けているように感じて、疑問に思い相談に至ったのでした。養子となったとしても実母からは、法的には妹と同じ比率で相続する、という説明に、妹の行動の理由が腑に落ちたようでした。

 一方、実親側の親族に対する扶養義務も残ります。子にとっては、養子縁組とは、「親(親族)が変わる」というよりは、「親(親族)が増える」制度だと考えた方がいいのでしょう。

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