弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

偽装結婚

2018年08月01日 その他

1 皆さん、偽装結婚という言葉を聞いたことがありますか?新聞などで外国人の結婚偽装の記事をご覧になった方も多いと思います。

 婚姻が成立するためには、①婚姻の意思と、②婚姻の届出という2つの要件が必要ですが、偽装結婚は①の婚姻意思を欠く場合で有効な婚姻を装うための結婚です。そして、偽装結婚の多くは、日本人と外国人が日本で婚姻するケースで、外国人に日本人の配偶者としての在留資格を得させる目的のために利用されるものです。従前、その外国人は女性が大半でしたが、近年は外国人男性の在留資格を得させるためにも利用されているようです。

2 では、偽装結婚についてはどのような処理がなされるのでしょうか。

まず、偽装結婚は婚姻意思を欠く場合ですから婚姻の要件を欠き民法上無効となります。ですから、戸籍には婚姻した旨の記載がなされたとしてもその婚姻は実体のない無効なものにすぎません。

3 また、偽装結婚が発覚すると、婚姻が無効である以上入管により在留資格も取り消されることになります。そうしますと、偽装結婚の外国人は在留資格を欠くことになり強制退去の対象になります。

4 さらに、偽装結婚は民事の問題に留まらず刑事処罰の対象になります。偽装結婚をして婚姻の届出を行いそれが戸籍に記載されますと、電磁的公正証書原本不実記録罪(刑法1571項)、不実記録電磁的公正証書原本供用罪(同法1581項)が成立することになります。要は、戸籍という公正証書の原本のデータに実体のない不実の記録をさせ、その不実記録を公にしたというものです。そして、当該当事者(偽装結婚の夫と妻)が起訴されますと、懲役1年6月、執行猶予3年という判決になるのが一般ですが、初めての公判請求(起訴)で実刑になることは通常はありません。ただ、上で述べましたように、偽装結婚が摘発されますと在留資格がなくなりますので、有罪判決を受けた当事者のうち外国人は在留資格がなくなり、判決直後に入管に収容されることになります。

5 なお、偽装結婚をしますと、結婚した旨の記載が戸籍に反映されることになり、そのままでは他の第三者と結婚することが出来ない状況が続きます。その状況を解消するためには、偽装結婚の記載(外国人と婚姻した旨の記載)を消す作業が必要になり、婚姻無効の裁判を家庭裁判所に提起しその婚姻無効判決をもって戸籍の訂正をすることなります。そして、婚姻無効の訴訟を提起する際、相手の外国人が強制退去になった場合でも、入管への出国の確認等を行って訴訟を提起し判決を取ることは可能です。ただ、かなり面倒ですが。

6 このように偽装結婚には大きな問題がありますが、在留資格を得たいという外国人のニーズは強く、他方安い値段で戸籍を売る日本人(偽装結婚に加担する。)の存在がこの偽装結婚を支えており、簡単に無くならないのが現実です。

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