弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

老人をめぐる事件(任意後見契約)

2018年01月05日 後見

第1 不動産の処分

 高齢者が、親しく自宅に入り込んだ不動産仲介業者に高齢者が自宅を売られてしまい、その直前に売買代金の管理と称して、不動産仲介業者の仲間と財産管理契約、任意後見契約を締結された事例がありました。

 公正証書による財産管理契約、任意後見契約が有効である限り、代理権を行使されてしまいますので、まずこれを解除する必要があります。公正証書による財産管理契約、任意後見契約の解除は、任意後見監督人が選任される以前であれば本人が公証人の認証のある書面でする必要があります(任意後見契約に関する法律第9条1項)。そこで、当該案件では、本人が公証人の認証のある書面で解除を行ったとのことです。それとともに、新たに成年後見人の選任申請を行い、親族を後見人に選任して、不動産の売買契約を取り消すなど、被後見人の財産の保全は適正に行われたとのことでした。

第2 任意後見契約から成年後見人選任の申立へ

 高齢者が高額の資産を残していたため、親族が、財産を勝手に持ち出したり、本人を病院に拘束しようとしたケースがありました。このケースでは、弁護士と本人との間で公正証書による財産管理契約、任意後見契約を締結して、親族の不当な関与を防いで老後の財産管理を行う予定を立てました。

 本人のマンション、宝飾品を売却して、資金を作り、老人ホームに入所させたのですが、だんだん本人の妄想が激しくなり(老人ホームのかかりつけの医師からは精神病院への入院を勧められましたが、本人が抵抗しました)、「財産管理人が財産を勝手に持ち出した、処分した」などと言いだし、自室の電話で手当たり次第に警察等に電話して、「財産管理人に盗まれた、不正を告訴する」などと言い出す事態になってきました。親族は、上記のように信用できないばかりでなく、弁護士を相手に訴訟するなどと言い出しましたので、やむを得ず、成年後見人の申立を行うこととしました。本人との間の信頼関係が維持できないと考えたからです。任意後見契約が登記されているときは,任意後見受任者,任意後見人及び任意後見監督人も申し立てることができます(任意後見契約に関する法律第10条)。成年後見人の選任まで1年以上かかりましたが、司法書士が専門職後見人として選任されて被後見人が大人しくなり、つくづく任意後見人にならなくて良かったと思ったケースでした。

一覧へ戻る
一覧へ戻る