弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

成年後見人の死後事務

2016年10月03日 後見

1 はじめに

成年被後見人の死亡により、成年後見人の代理権は消滅し、後見人ではなくなります。

そのため、被後見人死亡後の後見人による死後事務一般について直接定めた規定はなく、応急処分義務(民法874条、民法654条)や事務管理(民法697条以下)に該当するものとして、死後事務を行うことができると解するという説明が1つの考え方でした。

2 改正の内容

成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部が改正され、平成28年10月13日より施行予定になります。

改正の大きな内容は、(1)成年被後見人に宛てた郵便物の配達の嘱託等の審判事件の創設、(2)成年被後見人宛の郵便物の開披の権限の明文化、(3)死後事務の根拠規定の明文化になります。

改正のうち、(3)死後事務の根拠規定の明文化により、後見人の死後事務の円滑化が期待されています。

改正民法873条の2により規定され、成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができるとして、①相続財産に属する特定の財産の保護に必要な行為、②相続財産に属する債務の弁済、③その死体の火葬又は埋葬に関する契約その他相続財産の保存に必要な行為ができると規定されています。ただし、③については、家庭裁判所の許可を得なければならないとされています。

3 終わりに

上記の改正により、後見人の死後事務についての権限規定が設けられ明確になり、これまで後見人が行っていた死後事務の根拠規定が存在する点で、後見人による死後事務を円滑化する一定の効果を有することは明らかです。

もっとも、後見人による死後事務のうち具体的にどのような行為が①、②、③に該当するのか、家庭裁判所の許可にかかる平均的な時間や事前許可では間に合わない場合に事後の許可でも足りるのか等、具体的な運用は明らかになっていません。

今後の制度の運用動向に注目です。

以上

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