弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

高齢者と財産管理ー任意後見契約等について

2007年10月01日 後見

前回は、法定成年後見制度について説明がありましたので、今回は似た言葉である「任意後見契約」等の言葉の、ごく基本的なお話をしてみたいと思い ます。

 今元気に過ごしている。けれど、もし近い将来、体を壊したり、ものがわからなくなったり(例えば認知症など)したら・・・、そんな時に身寄りがなかったりしたら、自分が死んだ後の、後片付けやお葬式、お墓はどうなるのか。そんな不安を持ったことはありませんか?

 前回説明のあった法定成年後見制度は、家庭裁判所の関与のもとで、適切な財産管理をできなくなった方の代わりに、成年後見人が財産管理等の事務を行ってくれる制度です。

 しかし、選任されるまでは、誰が、どのような内容で財産管理等を行ってくれるかは、分かりません。そんなときに、
(1)まだ元気な内に認知症になった時に備えて(主に認知症にならないうちに)自分で選んだ成年後見人に、できる限りあなたの望む形で、財産管理等をしてもらおうという契約や、
(2)死んだ後のお葬式の手配をしてもらったりする契約や、
(3)認知症になる前でも、いつ認知症になるか見守ってもらう契約
等をすることが考えられます。

1.任意後見契約
(
1)にあたるのが任意後見契約です。大まかな言い方をすれば、あなたが認知症になってしまったりして、何も分からなくなってしまうことに備えて、あなたが誰に任意後見人になってもらえるか、決めておく契約で、公正証書で締結します。
 普段は、皆さんの近隣にある社会福祉協議会の方々等多くの方々の助力を受けて、皆さんの老後を暮らすことが可能ですが、あなたが認知症になってしまった時に、重大な財産管理等まではできないことが多いので、いざというときに困ってしまうことがあります。
 そのような場合に備えて、認知症になってしまった時のために任意後見契約を締結することが考えられるのです。
 
この任意後見契約は、任意後見監督人が選任される前であれば、いつでも、自由に解除できます。 なお、契約締結時に、誰に任意後見人になってもらうかは問題ですが、あとで親族との間でもめそうであったり、色々法律事務をしてもらったりするのに、弁護士の紹介を受けて会って決める方法等があるようです。

2.見守り契約・財産管理契約・任意代理契約
(
3)に当たる内容には、いわゆる見守り契約と言われる契約を締結しま す。あなたが認知症になるか否かを見守っていてもらうのです。
 
これはあなたの財産に関する任意代理契約や財産管理等委任契約と一緒に締結することも多いようですが、あなた自身は元気なのですから、もうひとがんばりして、あなたができることは自分でするようにする、つまり、あまり代理権は与えない(狭くする)のが良いようです。

3.死後委任事務契約

(2)にあたる内容は、1の任意後見契約の中には記載できないとされていますので、主に別に契約を締結するか、財産管理契約等の中に記載することになります。

4.ライフプラン

 あなたが認知症になった時に、どのような治療を受けたいか、葬式はどのようにして欲しいかとか、どこに住みたいかとか、必ずしも全てがかなうわけではありませんが、出来る限りあなたの気持ちを反映したライフプランを作成する方法もあります。あなたの好きな食べ物、色、お葬式の時に棺に入れて欲しいもの、流して欲しい音楽等、思いっきり書いてみましょう。

5.遺言
 
あなたが死んだ後に残った財産については、遺留分の問題はありますが、公正証書遺言等を作成することで、多くはあなたが決めることができます。
 あなたに親、子、孫、配偶者がいない場合(例えば相続人が兄弟姉妹だけの場合)には、遺留分という問題がありませんので、公的な団体の寄付等も 含め、相続財産の処分を自由に定めることができます。

  このように、老後の生活についても、自分らしい生き方を決めることが可能な場合があります。ぜひ、有効活用して、自分の人生を最後まで自分で決めて生きて行きたいものです。
                         
(以上)

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