弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

高齢者と財産管理ー成年後見制度について

2007年09月01日 後見

高齢化社会の到来とともに、高齢者の介護、保護の必要性が高まっています。現行制度では、判断能力の不十分な方を支援し、保護するものとして成年後見制度があります。
 
成年後見制度は、本人の判断能力の程度に応じ、後見、保佐、補助の3態様があり、手続きが開始されるとそれぞれ後見人」、「保佐人」、「補助人」が選任され、財産管理の任務を担うこととなります。 以下、後見」を念頭において述べます。

.平均年齢も延び、また、核家族化の進行などの影響もあってか、年金、不動産など収入財産はあるのですが、配偶者の一方に先立たれた方など一人暮らしの方も結構おられます。
 一人暮らしの中で痴呆の症状が出て施設に入るのに、資金が必要となっても資産の換金ができないなど、適切な財産管理ができなくなる方も出てきます。
 
また、最近は、過剰なリフォームの事例なども報道されていますが、判断能力の低い高齢者、特に一人暮らしの高齢者の方を狙った悪徳商法なども少なからず見受けられ、大切な老後の資金を喪失する被害も見られます。

.かような被害の相談では、被害にあった場合にも、被害にあったことが本人に分からない、被害にあった状況を覚えていないなどは少なからず見られます。
 特に前述のリフォームの例でもありましたが、一旦被害に遭うと次々と様々な勧誘にきて被害が一層拡大することがよくあります。こうした場合、特に本人の判断能力がない場合には、直接本人から委任を受けられず、被害回復に向けた訴訟提起など法的手続きがとれないなど、被害回復に困難が生じます。
 
こうして、痴呆の症状が出て一人暮らしが困難になったので老人ホームに入居したい、資金を得るため資産の処分をしたい、自分の財産管理ができない、悪徳商法の被害にあったことが子などにより発見され被害を回復したい、などの場合、後見人を選任してもらい財産管理や訴訟提起などを行います。

.成年後見制度は、必ずしも高齢者のみを対象とするものではないのですが、上述のような背景の下、高齢となり判断能力が低下した方のために利用される事例が多くなってきています。
 後見人選任手続きは、家庭裁判所が担当します。
 本人の判断能力の低下、喪失を示すためには医師の鑑定書が必要で、これに関係者として子や兄姉などの戸籍謄本、住民票、財産内容を示す書類―不動産登記簿謄本、預金通帳、年金の通知書―を添付して申し立てます。

後見人候補者としては、申立時に申立書には例えば長男など身内の者が記載されることも少なくないと思いますが、他の関係者から身内の候補者に異議が出されると、中立の立場の者として弁護士など第三者が選任されることが多いようです。
 申立手続きを弁護士に委任せず、子などが自ら行う場合に、上述のように身内の後見人候補者に、他の関係者からの異議が出て第三者の後見人が選任されると、違和感を感じる方もおられるようで、申立が取り下げられた事例もあります。
 
さらに長男など身内の後見人が選任されても、財産が多いなどの事情があると、後見監督人という後見人の監督者が選任される例もあります

.さきほどの、悪徳商法の被害回復を図る必要があるような事案では、申立手続きの過程で悪徳業者が倒産したり、廃業したりして被害回復が絶望的になることもあり得るので、後見人が選任されるまでの間、財産管理人の選任も併せて申立てて、速やかに被害回復を図ることも考えられます。
 東京の家庭裁判所の場合、財産管理人は弁護士を選任するのが通例のようです

以上

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