弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

取り分をゼロとする遺産分割協議と被相続人の借金

2016年01月31日 コラム

【取り分をゼロとする遺産分割協議と被相続人の借金】

 ここで問題です。Aさんの父親が他界しました。相続人は,Aさんとその兄であるBんだけです。父親には土地や預金などの財産はあったのですが,Aさんは,Bさんに遠慮をして,自分の取り分をゼロとする(つまり財産を全く受け取らない)遺産分割協議をBんとの間で成立させました。ところが,父親に100万円を貸していたCさんが,Aさんに対して,Aさんは父親の相続人なのだから,半分の50万円は払ってくださいと請求してきました。この場合,Aさんは払わなければならないでしょうか。

答えは,「YES(払わなければならない)」です。

 相続において,プラスの財産のみならず,マイナスの財産,つまり,借金などの債務も引き継がれることになります。そして,借金についていえば,相続分に応じて当然に分割されて引き継がれます。本件でいえば,相続分の2分の1に応じた50万円をAさんが引き継ぐことになってしまいます。たとえ,相続人間で取り分をゼロとする遺産分割協議を成立させたとしても,債権者の同意がない限りは,自分が引き継ぐ債務もゼロであると主張することはできません。                                    では,Aさんが借金を免れる方法はないのでしょうか。この場合,Aさんとしては,取り分をゼロとする遺産分割協議をするのではなく,家庭裁判所に相続放棄の申述をすればよいのです。具体的には,相続開始を知ってから3か月以内に手続を取る必要があります。相続放棄については,コラムのバックナンバーにも記事がありますので,そちらもご覧ください。                           遺産分割協議で取り分はゼロなのだから,借金も当然に引き継がないはずだという誤解は比較的多く見受けられます。                                                                                                                                                                                               

                                 

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