弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

調停に代わる審判

2015年12月09日 コラム

調停に代わる審判

 調停を申し立てても、当事者間に合意がまとまらないなど調停の成立が見込めない場合、調停は不成立となり、その後は通常、審判手続に移行したり、訴訟を提起するなどして裁判所の判断を待つことになります。

 ただし、調停の成立が見込めない場合でも、家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者双方の衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(調停に代わる審判)をすることができます(家事事件手続法284条1項)。調停に代わる審判のメリットは、審判や訴訟に移行するよりも簡易かつ効率的に事件を解決できることです。

 調停に代わる審判にするのがふさわしい事件はいろいろ考えられますが、たとえば、当事者の一方が遠方居住、病気、反発などで調停に欠席なので調停は進まないが、実質的な紛争性はない場合などが挙げられます。

 ただ、この調停に代わる審判に対して当事者から2週間以内に異議の申立があると調停に代わる審判は効力を失い、結局、改めて訴えを提起したり、審判移行することになります(法286条)ので、当事者から異議が申し立てられる可能性が高い場合は、調停に代わる審判はふさわしくありません。2週間以内に異議の申立がなければ、調停に代わる審判は確定することになります(法287条)。 

 筆者の取り扱った事件の中でも、調停に代わる審判によって解決できたケースがあります。遺産分割調停でしたが、遺産の範囲も明確で、相続人は2人で法定相続分にしたがって2分の1ずつ分割したいという紛争性の乏しい事件でした。ただ、相手方が感情的になって協議に応じず、調停にも欠席を続け、調停の進展は見込めませんでした。そこで、調停不成立にせず、相手方欠席のまま、法定相続分で遺産分割する内容の調停に代わる審判をしてもらいましたが、相手方から異議の申立はなく、スムーズに解決できました。

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