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お墓の法律

2014年04月01日 その他

1 はじめに

自分自身が死んだ後に入るお墓や、両親が亡くなった後に入るお墓に関心がある方は多いと思います。しかし、お墓に関する法律がどうなっているかについては、「よく分からない」という方がほとんどではないでしょうか。今回はお墓に関する法律について、書かせていただきたいと思います。

2 お墓は「墓地」にしか作れない

お墓に関しては、「墓地、埋葬等に関する法律」という法律があります。略して、墓埋法と言います。

墓埋法では、お墓は「墓地」にしか作ってはいけないと定めています。

つまり、たとえ自分の土地であっても、自宅の庭や裏山にお墓を作ることはできません。もし「墓地」でないところに墓石を建ててその地下に遺骨を埋めてしまうと、墓埋法違反になります。そのような行為には、「1,000円以下の罰金又は拘留若しくは科料」という罰則も定められています(墓埋法21条)。

「墓地」というのは、お墓が集まっている区域のことです。「◯◯霊園」とか、「◯◯墓地」などをイメージしていただけばよいと思います。

「墓地」の経営には、都道府県知事の許可が必要です。現在は、公益法人や宗教法人でなければ「墓地」の経営を許可しない運用になっています。個人や会社では、「墓地」を作ることはできません。

3 お墓が勝手に撤去されてしまうことがある

世間では、お墓を建てる土地を手に入れることを、「お墓を買う」と言うことがあります。「買う」という言葉には、所有権を手に入れるというイメージがあります。

しかし、実は、「お墓を買う」と言うのは、「お墓の敷地の使用権を買う」という意味です。お墓を買った人は、土地の使用権を取得するに過ぎません。お墓の敷地の所有権は、引き続き、「墓地」を経営している寺院や霊園が保有し続けることになります。

多くの場合、お墓を買う時には、永代供養料を支払います。永代供養料を支払っておけば、未来永劫お墓をその土地に置いてもらえるようなイメージがあります。

しかし、これも違います。永代供養というのは、文字通り、魂の供養をいつまでも行うという意味です。お墓の存続とは無関係です。

理屈では、魂の供養はお墓がなくても行えます。そこで、墓地の経営者は、一定の手続を踏むことで、誰も面倒をみる人のいなくなったお墓(無縁墓)の使用権を消滅させることができます。その場合、お墓に収められている遺骨は、共同墓地に移動し合祀されます。そのうえで墓石等を撤去して整地し、別の人のお墓の敷地として再利用することになります。

人は次々亡くなります。もし古いお墓を整理しなければ、この世界は、いずれお墓だらけになってしまいます。ですので、無縁墓を整理するのは、致し方ないことといえます。

長期間、管理料を支払わないと無縁墓と判断される可能性がありますので、注意が必要です。

4 お墓の敷地に抵当権が設定された場合の対処法

前述のようにお墓の敷地は、「墓地」の経営者の所有物です。そのため、「墓地」の経営者が、自身の借入金の担保にお墓の敷地に抵当権を設定することも可能です。

その場合、「墓地」の経営者が借入金の返済を怠れば、抵当権が実行されて競売にかけられて、第三者が競落するという事態になることもあり得ます。実際に、私自身、過去にそのような法律相談を受けたことがあります。

しかし、たとえ競売にかけられて第三者が所有権を取得したとしても、お墓を撤去する必要はありません。お墓の敷地の使用権は、借地権や地上権と同じように、新しい土地所有者に対しても、「自分は権利者である」と主張できる権利とされています。

ですので、お墓の敷地の所有権が第三者に移った場合であっても、今まで通り、お墓を維持することができます。

5 お墓の所有権の承継者は慣習で決まる

亡くなった人の財産については、法律で法定相続分が決められています。たとえば、妻と2人の子供(長男と次男)が相続人の場合は、妻1/2、長男1/4、次男1/4といった具合です。

遺産の分配の仕方について、遺言書がなく、相続人同士の協議でも決まらない場合は、調停や審判により、原則として法定相続分に基づき遺産を分配します。

しかし、お墓は、相続財産とは別の「祭祀財産」とされています。「祭祀財産」は、預金・不動産等の他の財産とは異なり、法定相続分によって分配するのではなく、慣習によって誰が承継するかを決めるとされています。慣習は、地域や世代によって異なるでしょうが、長男あるいは長子が承継することが多いと思われます。

なお、お墓については、税法上も特別な扱いがされており、相続税はかからないとされています。

6 最後に

今回は、お墓の法律について、あまり知られていないと思われることを書かせていただきました。近年、お墓に関する法律相談が増えている印象があります。お墓に関してお困りのことがありましたら、お気軽に弁護士にご相談ください。

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