弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

相談センターの多様な利用方法について

2009年02月02日 その他

1  今回は弁護士会家庭法律相談センタの少し変わった利用方法について、私の個人的な経験をお話しましょう。

  しかし今回のコラムは、私の体験をお話しするものであって、このような利用方法を勧めるものではありませんし、また他の弁護士が私と同様の対応をするとは限りません。
でもこのような利用方法もあることを知っていただけるなら、気軽に当家庭法律相談センターにお越しいただけるものと思い、筆をとりました。

 「金はいらない、謝罪だけでいい」

(1) 最初に紹介する事件は、妻の浮気相手に対して謝罪だけを求める代理人になってほしいというものでした(事案内容は変更を加えてあります)。
これでは私に対する着手金も報酬もいただきにくいし、そもそも相手方男性は友人であって謝罪の意思は十分に読み取れる事案でありました。
しかし依頼者は「自分の面前で、頭を下げて、誠意のある謝罪をしてほしい」というお願いでありました。
私は依頼者に「多少は慰謝料を支払っていただきましょうよ」とか「面前での謝罪より文書にすればいいではありませんか」とかお尋ねしましたが、依頼者は「私の面前で頭を下げて、誠意のある謝罪をしてほしい」というお願いに変わりはありませんでした。

(2) 手紙を書いて相手方男性を呼び出し、当方依頼者の要求の趣旨を話し、誠意ある謝罪の実行を求めました。
了解された相手方男性には、「誠意ある謝罪」について十分に説明し、当日の面前による謝罪の実行となったのですが、依頼者は、謝り方が悪いと突然に怒り出され、相手方に対して慰謝料も支払ってほしいと主張され紛糾してしまったのです。
相手方男性に対して、「誠意ある謝罪」の仕方について説明し、再度「きちんとした」謝罪をしていただきましたが、納得を得られず大変な思いをいたしました。

(3) 今後は「誠意」というような、人によってどのようにも受け取れる行為を要求するような事件の代理人にはなりたくないと、つくづく反省した事案です。

 


 

 遠方での相続事案

(1) 離婚事件は、通常相手方の住所地での家庭裁判所が管轄になり、相続事件では相続開始地の家庭裁判所が管轄になることが通常でありますので、遠方の事件を引き受けるに際しては、裁判になる場合も含めて検討するのが一般の弁護士の考え方であると思います。

(2) これまで遠方事案を何件も引受けておりますが、遠方まで出かけなくてもよい方法を検討して処理し、出かけねばならない事案については当該地域の弁護士会を紹介するなどして対応してまいりました。

(3) ここでお話ししたいのは被相続人が山口県萩市で亡くなられた相続事案であります。
私は一度でいいから長州の萩に行きたいと考えておりました。
萩に行くことはむしろ歓迎でしたので継続相談にして対応しておりました。しかし詳細は申し上げられませんが、郵便と本人が一度萩の家庭裁判所その他に出向けばよいということで全て終わってしまったのです。
当然かなりの時間相談を行い事務処理も行いましたが、費用は最初の相談料のみにて終わってしまったのです。
一度萩に行きたいという気持ちが私のビジネスチャンスを失わせたのです。

 「税理士の相談を受けたい」

(1) 家庭法律相談センターでは、「ご相談者へのサービスの向上を目指して、相談を戴いた案件の中で、特に補足的に税務面のアドバイスが必要と判断される案件につきましては、税理士による無料税務相談日を常設しています」とホームページで宣伝しております。

(2) ある相談者から「実は税理士の無料相談だけでいいのだけど」と言われて困惑したことがあります。
私は「いやそんなことはないですよ。やはり法律論の裏付けが必要ですよ。」とお答えし詳細をお聞きしました。
この事案においても、やはり弁護士のアドバイスが必要な案件でした。
私としては説明できて大変にいいことをしたという気持ちになった案件でした。
いずれにしましても同じ場所で税理士の相談も受けられるという便宜は大変なことだと感じました。

 「自分でやりたい」

(1) 次は、相続に端を発した兄弟紛争事件です。
相談者は兄弟に対する誠意から弁護士の名前も相談を受けている事実も隠したい。しかし家庭裁判所で有利に調停を進めたいという多少無理があり、弁護士としてはいろいろ考えてしまう事案です。

(2) 依頼者がそのようにおっしゃっているのですから継続相談にして相談にのっていました。
「兄弟に申し訳ないので」という気持ちは分からないでもありませんが、最後はやはり私が代理人になりました。
事案が複雑で本人だけでは無理があったのです。

(3) 離婚調停で家庭裁判所に行きますと弁護士が関係している度合いが低くて弁護士の努力不足等いろいろ考えてしまいます。
因みに統計を調べてみますと2006年夫婦関係調整調停事件のうち、代理人弁護士関与数は僅か22.9パーセントにすぎないのです(弁護士白書より)。

 今回のコラムは弁護士の反省を含めて、こんな利用のされ方がありますという意味でお話ししてみました。              

                              以上

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