弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

不倫の代償 その①

2005年08月01日 その他

 ご主人や奥様の素行に、不信を抱いたことはありま
  
せんか。
 弁護士の仕事をしていると、夫婦の一方から、パートナーが浮気をしているようだがどうしたらよいか、との相談を受けることがしばしばあります。
 夫の携帯電話に、女性の名前でメッセージが入っている。
 たまたま夫のパソコンを使っていたら、明らかに女性と思われる親しげなメールを発見した。
 夫は友人と一泊のゴルフに行く、と言っているが、今回は様子がおかしいので、女性を同伴して行くのではないか。
 夫の持ち物に、知らない女性とのツーショットの写真があった。
 妻は、夜勤のある仕事に行っているが、持ち物に観光地の旅館の領収書があった。
 夫が、趣味の会の女性と、趣味を超えた付き合いをしているようだ。

 不倫が発覚する経緯は、いろいろありますが手紙や写真、最近では携帯電話やパソコンのメール、着信履歴などから発見されるケースが多いようです。
 自動車のナビに残された走行記録から、浮気が発覚したという笑えない話もあります。
 又、不倫の隠蔽方法は、仕事先での夜の飲食の接待、付き合い、会合、ゴルフ等、また気分転換と称して一人で旅行に行く、中には単なる金銭的援助だ、と言って開き直るケースもあります。

 このような相談を受けたとき、弁護士としてはまず相談者が、これから夫又は妻との関係をどうしたいか、離婚したいのか、不倫相手と別れさせれば婚姻を継続して行きたいのか、を慎重に確認します。

 配偶者の不貞行為は、民法770条1項1号で離婚原因となっていますが、相談者の意向を無視して離婚の方向で突き進むと、後から自分は 離婚まで考えていなかったのに、弁護士が離婚、離婚と言うから別れることになってしまった、等と言われかねないからです。
 男女関係は、誠に機微、第三者には計り知れないものがあります。
 相談者が迷っているような時は、慎重に考えてもらって、場合によっては時間を置いて、相談者の意向を聞きます。
 実際この種の相談は、「人生相談」に終わることもままあります。

 配偶者の不倫は、離婚原因となります。

 これは、不倫をした配偶者が拒否しても、離婚出来るということです。
 又不倫をした配偶者だけでなく、配偶者の不倫相手も、民法709条、710条で不法行為となり、損害賠償義務(慰謝料の支払い義務)を負うこととなります。

 いずれの請求をするにしても、配偶者や不倫相手は、不倫(性交渉)を否定することが多いのが実情です。
 相手が認めないときは、「証拠」の有無が決め手となります。
 「理由もなく夫の帰りが遅い」、「無言電話が頻繁にかかってくる」、「職場の女性との噂を聞いた」等では、将来夫が否定したときは、いずれの請求も認められない可能性が高くなります。

  不倫の証拠
 性交渉は、公然と行われることがないため、不倫の証拠は性交渉そのものの目撃証言等直接証拠ではなく、ほとんどが間接証拠、即ち周辺の証拠から見て、当事者間にまず性交渉があったであろう、との証拠に頼ることになります。
 ただ、中には不倫の相手が趣味で性交渉の状況をビデオで撮影したテープが残っていたこともありました。
 この事件では、不倫自体は争われませんでしたが、慰謝料の金額が折り合わず、結局裁判を起こした上で、裁判所で裁判官の和解勧告で金額が決まりました。

 不倫の証拠としては、夫のパソコンに保存されているメールの内容、携帯電話の着信履歴、電話帳、手帳、ツーショットの写真、夫の手帳に記載された予定、住所録、ホテルの領収書、タクシーのレシート、NTTの発信先の記録等がありますが、いずれも間接的なもので、決め手とはなりにくいものです。
 又、共通の友人の話から発覚することもありますが、その友人が最後まできちんと裁判所等で、証言をしてくれるか、は微妙です。
 なかには自分で夫を尾行して、密会の現場を目撃した相談者もいましたが、実際は目撃しただけで、写真等もなく、又乗り込んで「現場」を押さえることを躊躇したため、証言だけにとどまって、 証明としてははなはだ弱いものでした。
 そこで、性交渉の直接の現場を押さえるため、興信所(調査会社)に依頼し証拠を収拾することが多くなるのが実情です。
 
 次回は、不倫の責任追及のための興信所の頼み方、証拠を揃えた上での交渉、調停、裁判手続き等について、お話します。
                                    
                                     以 上 

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