弁護士コラム~家事事件の現場から~家庭に関する法律相談を担当した弁護士がリレーでコラムを執筆しています。

預貯金の払戻し制度が始まりました。

2019年08月01日 相続

 従来,預貯金等の金銭債権は,遺産分割協議を待つことなく,相続開始とともに法定相続分にしたがって当然に分割取得することになっていました。
 その後,平成28年12月19日の最高裁大法廷判決により,預貯金債権も遺産分割の対象財産に含まれることになり,遺産分割協議が成立するまでの間は相続人全員の同意がなければ預貯金の払戻しができないこととなりました。
その結果,葬式代の支払いができない,被相続人から扶養を受けていた人の生活費が不足する,というような不都合が生じるようになりました。
 そこで,相続人の資金需要に対応するために民法909条の2が新設され,相続開始時の預貯金額の3分の1に法定相続分を乗じた額の範囲で預貯金債権の単独での権利行使が可能となりました(ただし,同一の金融機関に対しては150万円が限度となります。)。
 この規定は,令和元年7月1日から施行されており,同日以前に開始した相続については原則として対象外となりますが,同日以前に開始した相続であっても,同日以後に預貯金債権が行使された場合には,適用されることとされています。
 つまり,令和元年7月1日以前に家族が亡くなって相続が開始したが,相続人間での話し合いが全然進んでいないという場合でも,一定範囲で預貯金債権の払い戻しが受けられることになりました。
話し合いができない,と嘆いていないで金融機関に脚を伸ばしてみてはいかがでしょうか。


                                                      

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